熊工野球部100年の歩み(文中敬称略)東京熊工会会報VOL12より転載  

 熊工野球部の夏の選手県大会と、春の選抜大会の最終戦績を中心に、野球部の歴史を表にしてみた。 御覧の通り第20回、そして第23回、78回の全国大会決勝戦進出を頂点として、すばらしい戦績であり″野球の熊工″の面目躍如である。

 しかし三回とも、決勝で惜敗し、全国の頂点に立つこと叶わず"めざせ全国制覇" ‥が熊工の悲願となっており、その夢は関係者の両肩に重くのしかかっていることと、同情せざるを得ない。 こうしてデータを眺めていると、関係した頃の試合の様子が。走馬灯のように廻り出す。 試合結果は一行だが、その行間には一年間に渡るドラマを潜せているのである。 例えぱ昭和29年夏は、地方大会決勝戦で、3−6で長崎商に敗れ、惜しくも全国大会出場を逃がしている。 この頃は、川上、吉原時代に次ぐ、第二期黄金時代という下馬評だった。春選抜では、伏兵光沢を擁す優勝校飯田長姫に準決勝で0−6で敗れたが、二回の攻防を除けば、むしろ熊エのものであった。 そういう手応えもあって、”夏こそは〃と、全校が期待していたのである。 県大会は順調に勝ち進み、予想通り、済々黌との決勝戦となった。 済々黌も井(のち広島)古葉(広鳥)を擁し、熊工の添島(巨人)、田中(大洋)山村(大洋)、酒井(阪神)、西園寺(東映)と優るとも劣らない戦力をもち決勝戦に相応しいシーソーゲームとなった。 試合は延長11回4−3で熊エのサヨナラ勝ちとなったのだが、一点先行された10回裏の攻撃で、一塁走者だったエースの添島がダブルプレーの一塁送球を顔面に受け退場となるアクシデントに見舞われてしまう。

 この回なんとか1点返し、11回表を二番手浦田が抑え、その裏のサヨナラ劇と繋ぎ辛うじて県代表を勝ちとったのだった。 西九州大会は五日後から佐賀で開かれ、1回戦(11−3佐賀)準決勝(3−O長崎東) は浦田の好投で圧勝し、決勝の相手は長崎商となった。 それまでの投球内容からみて、当然次ぎも浦田、と素人は考えたが先発は添島。 我々はエースが投げられる これで甲子園だ・・・と小踊りしたが、添島はやはり無理だったのか、l、2回で5点を献上、浦田がその後を1点で抑え打撃陣も奮い3点返を返したが結局初回の3点が重過ぎ涙をのんだ。 選抜での長姫戦の2回といい、"魔一回″に泣いた一年だった。 しかも正二塁手の酒井、捕手の宮崎、加藤、浅山を怪我で欠き、急遽中堅手の西園寺を捕手にして戦ったのだが、これが全員揃っておればと残念でならない。

 このデータを眺めながら、各人それぞれに”熊工”の時代を想い出されることでしょう。 我々にこの様な喜びを与えてくれるのは、野球関係者の努力なのです。彼等の血の惨むような練習と、それによって培われた技倆、精神カを称えるとともに、我々に、いや今後の後輩達にも、この夢を与え続けさらなる伝統を築き上げてくれることを、期待して筆をおきます。 なお記録は「野球部創部70年間の記録」(熊工野球部OB会発行 定価1000円)に基づき、熊工野球部後援会事務局加藤隆寿氏、野球部長西本悟氏に補充して頂きました。紙面を借りてお礼致します。 (なおスコアブックもなく記憶に頼った部分がありますので、詳細内容に誤解があるかもしれません。御容赦下さい。)(文責 井上)

 参考文献 ・「熊エ会誌」40周年特輯号

        ・新校舎落成、創立80周年記念誌

        ・わが生涯の野球 川上哲治著

 年     春(選抜大会) 夏(選手権大会) 主将 部長 監督 プロ入団者
最終戦 スコア 対戦相手 バッテリー 最終戦 スコア 対戦相手 バッテリー
大正12         県2 4-5 熊商     坂梨  安次郎   S8岡本 敏男 (名古屋)
大正13         県決 1-6 九学 広永―村上   坂梨 安次郎   S8吉田 猪佐喜  (名古屋)
大正14         県1 0-7 宇土     坂梨 安次郎   S9中村 民雄   (セネタース)
昭和1                   坂梨 安次郎   S10 高 木 茂  (広島)
昭和2         県1 2-5 九学 坂本―上妻   坂梨  安次郎   S11岩本 巌男 (西鉄)
昭和3         地準決 5-10 鹿実 森田―平嶋   坂梨 安次郎   S13川上 哲治 (巨人)
昭和4         地準決 3-25 鹿商 内田、岡崎―松山   坂梨 安次郎   S13吉原 正喜 (巨人)
昭和5         地準決 5-8 鹿二 内田―谷   坂梨 安次郎   S13田中 資昭 (巨人)
昭和6         地決 1-2 大分商 田中、田上―岡田   坂梨  安次郎 田屋 健 S13岡本(川口)敬次郎(西鉄)
昭和7         全準 0-4 中京商 岡本―中村   坂梨  安次郎 山田 S14武宮 敏明 (巨人)
昭和8 全 1 2-5 興国商 戸上―中村 地決 4-6 大分商 戸上―中村 中村 坂梨 安次郎 田中喜一 S14鈴木田登満留(巨人)
昭和9         全決 0-2 呉港中 戸上―吉原   坂梨 安次郎 田中喜一 S15丸尾千年次(阪急)
昭和10         地決 6-7 大分商 丸尾、川上―吉原   坂梨  安次郎 田中喜一 S15田中金太郎(名古屋)
昭和11 全 1 7-9 桐生中 丸尾、川上―吉原 地準決 2-5 大分 川上―吉原   坂梨  安次郎 田中喜一 S16後藤 次男 (阪神)
昭和12         全決 1-3 中京商 川上―吉原   坂梨 安次郎 田中喜一 S18福永 幸雄 (西鉄)
昭和13         地準決 0-3 鹿商 緒方―武宮   坂梨 安次郎 田中喜一 S20荒木 健治 (東急)
昭和14 全 3 0-2 島田商 田中―高山 全 2 5-7 福岡工 高坂、田中―高山   坂梨 安次郎 田中喜一 S26八浪 知行 (西鉄)
昭和15         地決 0-3 大分商 田口―後藤   坂梨   安次郎 田中喜一 S28山本 哲也 (阪神)
昭和16 全準決 4-5 東邦商 田口―後藤 地決 2-3 福岡工 田口―後藤 後藤 坂梨 安次郎 田中喜一 S28山部 儒也 (阪神)
昭和17         地決 0-1 大分商 古関―馬場 矢野 坂梨 安次郎 田中喜一 S28島田 雄二 (東映)
昭和21         県準決 3-16 熊商 齋藤、緒方―永石   坂梨 安次郎 田中喜一 S28北川 信義 (西鉄)
昭和22         県 2 4-6 玉名中 齋藤―永石   坂梨 安次郎 田中喜一 S28山部 精治 (中日)
昭和23         県決 3-5 熊商 西野―竹永   田中 喜一 中村民雄 S28八浪 彬男 (巨人)
昭和24 県準々 0-3 熊商 西野―田上 県 2 5-6 八代 西野、岡野―平岡   田中喜一 中村民雄 S29中村 和臣 (阪神)
昭和25 全 2 3-5 高知商 西野―柳沢 地 1 1-2 佐   賀 岡野、西野―柳沢 矢野 田中喜一 中村 民雄 S30添島 時人 (巨人)
昭和26 県準決 2-6 熊本   県 2 4-5 熊本 山部―山口 丸尾 田中喜一 中村民雄 S30田中 春雄 (大洋)
昭和27 県準々 3-4 熊商 小本、山部―山本 地決 0-5 長崎 山部、小本―山本 山本 兼子志賀美 中村民雄 S30山村 軒弘 (太洋)
昭和28 県準決 2-11 済々黌 添島―土屋 県決 1-2 熊本 中村―今田 中村 兼子志賀美 中村民雄 S30酒井 啓吾 (阪神)
昭和29 全準決 0-6 飯田長姫 添島―宮崎 地決 3-6 長崎商 添島、浦田―西園寺 藤井 兼子志賀美 中村民雄 S31西園寺昭夫(東映)
昭和30 県 2 2-3 熊商 浦田―宮崎 県決 5-8 熊本 前田、浦田―宮崎 宮崎 兼子志賀美 中村民雄 S33古賀 英彦 (南海)
昭和31 県 決 3-4 済々黌 前田―池田 県準決 0-1 済々黌 前田―池田 佐野 兼子志賀美 中村民雄 S33前田 益穂 (中日)
          地準決 1-8 済々黌 前田―池田       S34成田 秀秋 (中日)
昭和32 地 1 1-8 久留米商 前田、成田―池田 県準決 3-4 熊商 徳永、成田―池田 戸上 兼子 志賀美 中村民雄  
昭和33 全準決 2-5 済々黌 成田―西田 県準決 1-3 九学 成田―西田 竹田 兼子 志賀美 中村民雄 S34西田 幸雄 (阪急)
昭和34 県準々 1-5 鎮西 坂口、坂本―松見 県 2 2-5 熊商 岩下―松見 長村 兼子 志賀美 中村民雄 S34宮原 一喜 (阪急)
昭和35 地 2 1-5 柳川 川上、吉村―山村 地 1 0-1 高田 吉村、川上―山村 田代 兼子 志賀美 中村民雄 S36山本 公士 (阪急)
昭和36 県 決 0-1 鎮西 山田―川上 地決 2-6 高田 山田、西岡―中野 西岡 兼子 志賀美 馬場広治 S39正垣 泰裕 (阪急)
昭和37 県 決 1-3 鎮西 東川、木下―田端 地決 1-6 大分商 東川、高木―森下 前田 金森 又喜 馬場広治 S42長島 吉邦 (広島)
昭和38 県 決 4-10 九学 上野、園田―森下 県 準々 2-3 熊商 立田、園田―森下 正垣 金森又喜 馬場広治 S43内田 照文 (広島)
昭和39 県準決 5-6 八代東 立田、園田、永田―上野 県準決 6-8 九学 永田―上野 上野 金森又喜 馬場広治 S44松本 正幸 (巨人)
昭和40 全 1 1-2 中京商 永田―上野 県 3 0-1 八代東 山中―木村 田中 金森又喜 馬場広治 S44 前田 亨 (阪急)
昭和41 県準決 2-5 熊一工 山下、内田―吉田 県 3 0-1 八代一 長島―内田 長島 金森又喜 馬場広治 S46金井 正幸 (中日)
昭和42 県 決 2-3 鎮西 山下―久原 地決 0-7 大分商 松本、山下―久原 川本 金森又喜 馬場広治 S51蓬莱 昭彦 (西武)
  全 準々 0-2 高知 松本―久原                
昭和43 県 1 1-4 鹿本 松本―前田 県決 0-2 鎮西 松本―前田 西山 竹永一雄 矢野幸吉 S54山森 雅文 (阪急)
昭和44 県 1 0-6 八代東 坂井、嘉悦、金井―田中 地準決 1-2 大分商 坂井、嘉悦―坂本 松成 竹永一雄 矢野幸吉 S56 伊東 勤 (西武)
昭和45 県準決 6-7 八代東 坂井―田中 県準決 3-4 九学 坂井―田中 村里 竹永一雄 矢野幸吉 S56大津 一洋 (南海)
昭和46 県 2 0-2 人吉 県 3 0-4 東海大二 戸田―小田 丸山 竹永一雄 竹永一雄  
昭和47 県準々 2-4 鎮西 戸田―松村 県準決 1-2 八代一 戸田―松村 古葉 市川 宝 竹永一雄 S59 野村 裕二 (日ハム)
昭和48 県準決 5-8 鎮西 中尾、城、佃―上村 県準々 1-4 九学 佃―上村 久田 市川 宝 竹永一雄 S59高村 洋介 (阪神)
昭和49 県 2 0-3 熊本 東浜―高田 県準々 4-6 鎮西 中尾、佃―秋山   市川 宝 八浪知行 S60二宮 正巳 (阪急)
昭和50 地 決 5-8 門司工 蓬莱、瀬高、古閑―志方 地 1 1-2 津久見 瀬高、蓬莱―西 松本 市川 宝 八浪知行 S60井上 真二 (巨人)
  全 2 4-5 高知商 蓬莱、瀬高―志方               S62永野 吉成 (ロッテ)
昭和51 県 決 5-7 東海大二 岡田、林田、山川―西 全 1 1-2 今治西 林田―西 瀬高 市川 宝 八浪知行 S62緒方 耕一 (巨人)
昭和52 全 1 1-2 東北 林田―西村 全 準々 0-4 東邦 林田―西村 土田 宮崎重信 八浪知行 S63 森 秀二 (ダイエー)
昭和53 県 2 5-6 九学 松本―宮崎 県 準々 1-3 工大 松本―松本 松本 宮崎重信 八浪知行  
昭和54 県 1 1-2 八代 宮崎、秋山―伊東 県 2 0-3 八代工 宮崎、大津―伊東 坂井 宮崎重信 八浪知行  
昭和55 県 2 1-2 矢部 吉田、高橋、大津―堀 全 3 3-6 天理 大津、高崎、二殿―伊東 山田 宮崎重信 林 幸義  
昭和56 県準々 0-2 九学 高橋、秋山―西里 県 3 0-3 済々黌 秋山、高橋、奥村―西里 石田 山口俊介 林 幸義  
昭和57 県 3 1-4 八代一 奥村、坂口―野村 全 準々 3-7 東洋大姫路 奥村、高村、坂口―野村 小原 山口俊介 林 幸義  
昭和58 地準決 2-5 久留米商 高村―野村 県決 1-2 東海大二 高村―野村 大椛 山口俊介 林 幸義  
  全 1 4-11 星陵 高村、田崎、乙丸―野村                
昭和59 県準決 2-5 九学 二宮―中島 県決 2-4 鎮西 二宮―中島 井上 山口俊介 林 幸義  
昭和60 県 決 2-6 済々黌 井上、森内、杉本―岩崎 県 準々 9 - 11 多良木 木村、永野、杉本―岩崎 奥村、小原 上村正司 林 幸義  
昭和61 全 1 6-7 尾 道 商 永野、木村―松本 全 2 0-1 広島工 永野、木村―松本 永野 上村正司 山口俊介  
昭和62 地準決 1-6 西日本短大付属 森―平田 県 準々 8- 12 熊本西 井上、森、村上―平田 井上 田瓜正和 山口俊介  
  全 準々決 0-4 東海大甲府 森―平田                
昭和63 全 1 3-6 高知商 松岡、村上、米本―豊永 全 2 4-5 日大一 村上、松岡―豊永 松岡 田瓜正和 山口俊介  
平成1 県準決 9-11 東海大二 横坂、米本、永田―早野 全 2 1-3 吉田 横坂―早野 前田 田瓜正和 瀬高啓介 H1村上誠一 (ダイエー)
  地 1 3-4 佐伯鶴城 永田、横坂―早野                
平成2 県準決 3-7 東海大二 山野、永田、原田―坂口 県決 3-4 済々黌 永田―坂口 佐藤 山口俊介 齋藤健二郎 H2 前田 智徳 (広島)
平成3 地準決 2-6 鹿実 山野、山村―脇坂 全 1 2-4 桐蔭 山村―脇坂 塩崎 山口俊介 齋藤健二郎  
  全 1 2-3 帝京 山野―脇坂                
平成4 県準決 3-4 城北 坂田―田口 全 2 0-1 岐阜商 長谷川、坂田―田辺 石川 齋藤健二郎 山口俊介 H4 塩崎 真 (オリックス)
平成5 県 3 2-3 鎮西 奥本、日河内―田辺 県準決 2-3 城北 前村、日河内―田辺 前村 川崎広美 山口俊介 H6高波 文一 (阪神)
平成6 全 1 2-6 姫路工 日河内―園田 県 2 9-10 市商 渡辺、日河内、松本、三宅、吉田―園田 田中 川崎広美 山口俊介 H7 田中 秀太 (阪神)
平成7 全 2 2-6 日南学園 松本―中野 県準決 1-3 九学 松本―中野 佐藤 川崎広美 山口俊介 H8荒木 雅博 (中日)
平成8 県 1 2-3 鎮西 村山― 境 全決 3-6 松山商 園村、村山―境 野田 永野利徳 田中久幸 H8田中雅興 (オリックス)
平成9 県 1 2-8 城北 錦野、松岡、岡本、松田―野口 県 2 1-2 熊商 坂田、吉川―水永 小田 西本 悟 田中久幸 H8松本 輝 (ダイエー)
平成10 県 4 1-4 八代一 川端、松岡、迫―水永 県決 1-16  九学   田島、澤村−水永 澤村 西本 悟 田中 久幸  
平成11 県準決  0-6  市立商  田島、松尾−広瀬  県準決   2-13  東海二   田島、松尾−広瀬  西方 西本 悟 田中 久幸  
平成12 県2  4-7  専大玉名  宮本−吉田  県 1  0-2  鹿本  宮本、川村−吉田  寺田  西本 悟  竹田精一   
平成13                        
平成14                        

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